くにみつ ひろし姫路で個人事業主として起業する際に、まず向き合うことになるのが「開業届」です。名前は聞いたことがあっても、「何をどこまで書けばいいのか分からない」「本当に出さないといけないの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、開業届の役割や書き方、姫路で提出する際の実務的なポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説します。

結論の早見表
| 手続き | 期限(国税庁の記載) |
|---|---|
| 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) | 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで(期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日) |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 原則、青色申告をしようとする年の3月15日まで。1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業開始日から2か月以内 |
| 給与支払事務所等の開設届出書(人を雇って給与を払う場合) | 開設等の事実があった日から1か月以内 |
開業届の提出先は、納税地を所轄する税務署です(A1-5)。
出典:国税庁 タックスアンサー No.2090「新たに事業を始めたときの届出など」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
開業届とは?提出する意味とメリット
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人で事業を始めたことを税務署に知らせるための書類です。
- 青色申告ができるようになる:青色申告をするには、開業届とは別に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。青色申告特別控除は、最大65万円です。55万円の要件(事業所得等があること、複式簿記で記帳すること、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告すること)に加えて、e-Taxでの申告または電子帳簿保存が必要です。要件を満たさない場合は10万円です(国税庁 No.2072)。
開業届はいつまでに、どこに提出する?
開業届は事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに納税地を所轄する税務署に提出します(期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日)。姫路市内で事業を始める場合、管轄となるのは姫路税務署です。
なお、開業届で届け出る「納税地」は、必ずしも自宅住所である必要はありません。事務所や店舗を別に構える場合はその住所をコワーキングスペースの住所利用サービスを使う場合はその住所を届け出ることも可能です。
提出先は「納税地を所轄する税務署」です。納税地が姫路市内の方は姫路税務署に提出します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 姫路税務署 |
| 所在地 | 〒670-8543 兵庫県姫路市北条1丁目250番地 |
| 電話 | 079-282-1135 |
| 開庁時間 | 月曜〜金曜(祝日・年末年始を除く)8:30〜17:00 |
出典:国税庁「姫路税務署」
窓口に持っていく場合の時間については、令和8年10月1日から、全国の税務署で、総合窓口の受付時間は原則として午前9時から午後3時までとされています。受付時間外でも、開庁時間内(8時30分から17時まで)に行けば各種手続を利用できます。
開業届の書き方|項目ごとに解説
開業届はA4用紙1枚で、記入項目自体はそれほど多くありません。順番に見ていきましょう。実際の様式を見ながら進めたい方は、国税庁が公開している様式PDFと、記入欄ごとの解説がまとまった記載要領PDFもあわせてご覧いただくと分かりやすいです(いずれも国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」ページ内で公開されています)。
管轄する税務署名(姫路市内なら姫路税務署)と、提出する日付を記入します。
「区分」欄に、納税地について「住所地」「居所地」「事業所等」から該当する番号を書き、納税地の住所を記入します。氏名・生年月日に加えて、マイナンバー(個人番号12桁)も記入します。
職業欄には「Webデザイン業」「飲食業」など、事業内容が分かる言葉で記入します。
「届出の区分」の「開業」の枠に「1」を書きます。
(廃業や事務所・事業所の新設等の場合は、該当する枠に書きます)
実際に事業を始めた日を記入します。この日が属する年分の確定申告期限が、開業届の期限になります。どの日を開業日とするか迷う場合は、姫路税務署にご確認ください。
「Webサイトの制作・運用」「カフェの経営」など、具体的にどんな事業を行うのかを簡潔に記入します。
家族を専従者として雇う場合や、従業員を雇用する場合はその人数や給与の定め方を記入します。人を雇って給与を払う場合は、記載要領に従って、届出日現在の給与の支給人員や支払の状況などを記入します。雇わない場合の書き方は、様式・記載要領か税務署でご確認ください。
青色申告を希望する場合は「有」にチェックを入れます。ただし、この開業届だけでは青色申告の申請にはならず、別途「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。青色申告承認申請書の期限は、原則、青色申告をしようとする年の3月15日までです。1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業を始めた日から2か月以内です。開業届と同時に出しておくと、期限を見落としにくくなります。
【記入例】姫路の個人事業主・架空の3パターン
以下はすべて架空の例です。氏名・住所・生年月日・個人番号・屋号は、実在の人物・店舗・番号とは関係がないダミーです。「職業」「事業の概要」の文言は、書き方の一例として作ったもので、税務署が指定する言い回しではありません。実際に書くときは、ご自身の事業の内容に合わせてください。
| 欄 | (A) 姫路市内でカフェを開く | (B) 自宅でハンドメイド作品を販売 | (C) フリーランスのWebデザイナー |
|---|---|---|---|
| 提出先 | 姫路(税務署長)※ | 姫路(税務署長)※ | 姫路(税務署長)※ |
| 職業 | 飲食店経営 | ハンドメイド雑貨の製造販売 | Webデザイナー |
| フリガナ(屋号)/屋号 | カフェ サンプル/Cafe Sample | テシゴト サンプルコウボウ/手しごと サンプル工房 | スタジオ サンプル デザイン/Studio Sample Design |
| 区分(納税地) | 5(住所地) | 5(住所地) | 5(住所地) |
| 納税地 | 姫路市〇〇町1-2-3(ダミー) | 姫路市〇〇町4-5-6(ダミー) | 姫路市〇〇町7-8-9(ダミー) |
| 上記以外の住所地・事業所等 | 店舗の所在地:姫路市△△町1-1(ダミー) | 書かない(自宅が納税地と同じ) | 書かない(自宅が納税地と同じ) |
| 届出の区分 | 開業の枠に「1」 | 開業の枠に「1」 | 開業の枠に「1」 |
| 所得の種類 | 事業(農業)所得にチェック | 事業(農業)所得にチェック | 事業(農業)所得にチェック |
| 開業・廃業等日 | 令和8年11月1日(店舗の営業を始めた日) | 令和8年11月1日(作品の販売を始めた日) | 令和8年11月1日(最初の仕事を受けて事業を始めた日) |
| 青色申告承認申請書 | 有(開業届と合わせて出す場合) | 有(開業届と合わせて出す場合) | 有(開業届と合わせて出す場合) |
| 課税事業者選択届出書 | 無 | 無 | 無 |
| 事業の概要 | カフェの経営。コーヒー・軽食・焼き菓子を、店内とテイクアウトで提供する | 革小物とアクセサリーの手作りと、ネットショップ・イベント出店での販売 | ホームページの企画・デザイン・制作・更新代行。個人事業主や小規模店舗からの受注制作 |
| 給与等の支払の状況 | 空欄(人を雇わない想定) | 空欄 | 空欄 |
※ 提出先はご自身の納税地を所轄する税務署の名前を記入します。「姫路」は納税地が姫路税務署の管轄である場合の例です。どの税務署の管轄かは、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」のページか税務署への電話で確認してください。
書き分けのポイントは次のとおりです。
- (A)カフェ:自宅とは別に店舗を借りる場合の例です。納税地を自宅にして店舗を「上記以外の住所地・事業所等」に書く方法と、店舗(事業所等)を納税地にする方法があります。事業所等を納税地にすることもできると、国税庁のNo.2090に書かれています。どちらを選ぶか迷ったら、姫路税務署に確認してください。なお、飲食店の営業許可など、開業届とは別に必要な手続きがありますが、この記事では確認していません。管轄の窓口でご確認ください。
- (B)ハンドメイド:自宅が仕事場なら、住所の欄は納税地の1か所で済みます。ネット販売やイベント出店が中心でも、書き方は同じです。
- (C)Webデザイナー:「職業」は「Webデザイナー」で通じます。「事業の概要」には、制作・更新代行など仕事の中身まで書いておくと、後で見返したときに迷いません。様式には「できるだけ具体的に」とあります。
- 人を雇う場合:「給与等の支払の状況」の欄を書きます。記載要領には、届出日現在の給与の支給人員と、給与等の支払の状況を書く欄と説明されています。この記事の記入例は、人を雇わない想定で空欄にしています。迷う場合は、税務署にご確認ください。
- 青色申告承認申請書:開業届とは別の書類です。上の例の開業日(令和8年11月1日)は「1月16日以後に新たに事業を始めた場合」に当たるので、期限は事業を始めた日から2か月以内です(記載要領・No.2090)。
開業届の提出方法
提出方法は主に3つあります。
- 税務署の窓口へ持参:書面で作成した届出書を持参します。
- 郵送:控えを返送してもらいたい場合は、返信用封筒(切手を貼付したもの)を同封します。
- e-Tax(電子申請):オンラインで完結でき、税務署に出向く必要がありません。e-Taxで作成して提出します。初めて使う場合は、利用者識別番号の取得が必要です。
控えが必要な方は、提出用とは別に、コピーなどを取って保管してください。令和7年1月から、控えへの収受日付印は押されません(次の項目をご覧ください)。
控えに受付印がない?控えの残し方
令和7年1月から税務署は申請書等の控えに収受日付印を押さなくなりました。
- 窓口に持参する場合:提出用の原本だけを出します。控えが必要な方は、自分でコピーなどを取って保管し、提出日を記録しておきます。当分の間の対応として、収受した日付と税務署名を記載したリーフレットを、希望者に渡しています。
- 郵送で返信用封筒(切手を貼ったもの)を同封する場合:窓口と同じ扱いで、日付と税務署名(業務センター名)を記載したリーフレットが同封されて返送されます。
- e-Taxの場合:送信が完了すると、メッセージボックスに受信通知が入ります。受付番号や受付日時などを確認できます(個人の方が内容を確認するには、マイナンバーカード等の電子証明書が必要です)。
銀行や融資の審査で控えの提出を求められたときも、この運用が前提になります。融資の相談については姫路の創業融資の記事もご覧ください。
開業届と同時に確認したい手続き
国税庁のタックスアンサー(No.2090)では、開業にあたって次のような届出が案内されています。期限が異なるため、早めに確認しておくと安心です。
| 届出 | 期限(国税庁の記載) |
|---|---|
| 所得税の青色申告承認申請書 | 原則3月15日まで。1月16日以後の開業は事業開始日から2か月以内 |
| 青色事業専従者給与に関する届出書 | 給与を必要経費に入れたい年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合などは、その日から2か月以内 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設の事実があった日から1か月以内 |
| 棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 | 事業開始等の事由が生じた年分の確定申告期限まで |
| 消費税関係(課税事業者の選択、簡易課税、適格請求書発行事業者の登録など) | 原則、適用を受けたい課税期間の初日の前日まで。事業を始めた課税期間に選ぶ場合は、その課税期間中 |
自宅の住所を書きたくない・事務所がないとき
納税地は、原則として住所地(住民票の住所)です。住所地に代えて事業所等の所在地を納税地にすることもできます。
- 申告書の納税地欄に事業所等の所在地を書いて提出すれば、納税地を変更できます。
- 年の途中で、国税当局からの文書の送り先も変更後の納税地にしたい場合は、「納税地の異動・変更に関する申出書」を随時提出できます。
姫路で開業届を出す前に準備しておきたいこと
開業届をスムーズに提出するために、事前に決めておくと良いことがいくつかあります。
- 納税地(事業所の住所)をどこにするか:自宅を使うか、事務所を借りるかを決めておきましょう。住所利用サービスの住所を納税地にできるかは、税務署にご確認ください。
- 屋号:必須ではありませんが、決めておくと請求書や名刺の作成もスムーズです
- 青色申告にするかどうか:節税メリットを受けたい場合は、開業届と同時に青色申告承認申請書も準備しておきましょう
自宅の住所を事業用として公開したくない方には、コワーキングスペースの住所利用サービスも選択肢になります。SHARESには、住所利用サービスがあります。開業準備の段階からのご相談も受け付けています。
開業のあとに使える姫路の支援
- 創業塾・特定創業支援事業証明書:証明書の取得方法と優遇
- 事業計画書:事業計画書の書き方
- 融資:姫路の創業融資
- 補助金:姫路の補助金
- 全体の流れ:姫路で起業する流れ
よくあるご質問
まとめ
開業届は、姫路で個人事業主として一歩を踏み出すための、最初の重要な手続きです。記入項目自体は難しいものではありませんが、青色申告承認申請書など関連書類とあわせて準備することで、税制上のメリットを最大限に活かせます。分からないことがあれば、姫路税務署や税理士、あるいはSHARESのような起業サポートを行っている窓口に相談しながら進めるのがおすすめです。
出典一覧(確認日:2026年10月27日)
- 国税庁 タックスアンサー No.2090「新たに事業を始めたときの届出など」(令和8年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm - 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm - 国税庁「開業する場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/42.htm - 国税庁「令和7年1月からの収受日付印の押なつについて」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/index.htm - 国税庁「姫路税務署」
https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/location/hyogo/himeji/index.htm - 国税庁 個人事業の開業・廃業等届出書(様式PDF、A1-5に掲載)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/r06/05.pdf - 国税庁 同 記載要領(PDF、A1-5に掲載)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h29/01_kakikata.pdf
